箸訓練

 作業療法士の衛藤です。以前食事の自助具についてブログを書きましたが、今日は箸の動作訓練についてお話しさせていただきます。

 

 利き手が何らかの理由で不自由になったときスプーンやフォークでも食べることはできますが、やはり「お箸で食事をしたい!」と思う方は多いです。しかし、今まで使っていたお箸をいきなり使うことは結構大変なのです。利き手で練習をする場合もあれば、利き手を使うことが困難な方は非利き手での動作訓練を実施します。

 

 ただやみくもに箸を繰り返し使う練習をするのでは、正しくない姿勢や筋肉の異常な緊張をもたらしスムーズな動作の獲得は難しくなってしまいます。まずは肩の動きを良くしていくことからアプローチしていき、そして手の細かな動きをスムーズにしていくような動作訓練をします。

 そして実際にお箸を使う訓練をするのですが、ここで以前お話しした自助具がとても役に立ちます。色々な種類があるのですが、それぞれ箸の持ち方や動きをサポートしてくれ、正しい使い方を導いてくれるのです。どの自助具を使うかはその方の動きのレベルに合わせて選定します。

 

 

 

 この方はバネ付箸というお箸の間にバネがついているタイプのお箸を使って練習しています。お箸がずれたりすることなく食べ物を挟むことができとても便利です。お箸でつかむ練習する物も、スポンジやヒモ、豆、プラステック粘土などを使って難易度を変えることができます。ある程度上手になれば実際の食事でも練習します。

 

 箸に集中していると姿勢が崩れてくることが多く、みなさん私から、体が傾いてますよ!、肩があがってますよ!、等々注意され「厳しかね~!」と。ごめんなさいねと言いつつまたしばらくすると、また体が傾いてますよ!と言わせていただきます。長く担当している方々からはリハビリに伺うと「鬼教官が来た(笑)」と言われますが、みなさんとても熱心でリハビリの時間を待ってて下さりありがたいです。

 

 

 訪問看護ステーションつばさ OT 衛藤 香緒里

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コメント: 1
  • #1

    なおきOT (日曜日, 05 7月 2020 22:15)

    コメント失礼致します。
    はじめまして、今年で作業療法士になって4年目、訪問リハビリに努めて1年目の小童OTです。
    記事を読ませていただき、当たり前のようで、ついついすっ飛ばしてしまうアプローチの手順で、改めて勉強になりました。
    今回、そんな基盤がしっかりとされている先輩からご教示願いたく、コメントした次第です。
    ざっくり言うと、現在私の担当する利用者様で90歳女性、視覚障がい(視力0.01以下)をお持ちの方に対して、食事動作訓練を行なっています。運動能力は概ね保持しています。30年ほど前に転倒した際に前腕遠位端骨折(画像など詳細なデータはありませんが、おそらくコーレス骨折)を受傷された影響か、感覚機能で正中神経領域での触覚の麻痺を認めます。その他、骨折による手根骨のアライメントが尺側偏位、中手骨アーチが平坦化しています。その利用者様に対して、箸を使用した食事動作の自立を図りたいと考えているのですが、衛藤さんはどのような切り口でアプローチされますでしょうか。※箸を選択したのは、ご本人の強い希望とある程度の能力が保持されているため、操作可能と判断したためです。