ガスの元栓閉めたかな?
有料老人ホームに入居されて以来2年半以上、ずっと気になっておられた事…。
最初の頃は歩いて台所を探しておられ、歩けなくなってからは這ってお部屋から出てこられる事も…。
それは、昼も夜も関係なく、ずっと気になっていた事でした。
「どこか行きたいところありますか?」の問いかけに「家に帰りたい」「ガス…」と弱々しい声。
息子さんのお嫁さんの「ちょっとでもいいからお義母さんを家に連れて帰りたい」の強い思いもあって、ようやく一時帰宅が実現しました!
体調やお天気、気温、みんなの気持ちが一つになって、絶好のお出掛け日和に。
最近では、ほとんど言葉を発する事もなく傾眠気味だったその方が、ご自宅に帰る道中、「そこを西」「そこを南」「曲がったら北」など、道案内を。。
「南に行って北に行ったら元にもどるや〜ん!」
「よ〜わからんとやん」
と、大笑いしながらご自宅に到着。
息子さんご夫婦と、弟さんご夫婦、妹さん、仲良しだったご近所さんがお出迎えして下さり、いつもの3倍近く目がパッチリ…笑顔も…。
今は誰も住んでいないお家の土間に、お嫁さんが庭のチューリップを飾ってくれていました。
心配だったガスの元栓が閉まっている事を確認し、懐かしい我が家を堪能。
座っていると血圧が下がってしまう為、滞在時間は20分が限界。
訪問看護の看護師さんも駆けつけてくれて、バイタルチェックしながらの滞在。
それでもご家族にとって、私達スタッフにとっても、忘れる事の出来ない、大切な時間になりました。
翌日、たくさん撮った写真を眺めていると、どの写真も後ろの方で息子さんが、笑顔でお母さんを見守っている様子が写っていました。
「令和の時代までおってくれたらいいなぁ」息子さんがポツリと言われた言葉に、グッと涙を堪えました。
有料老人ホーム銀の庵 古殿
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おのさちよ (日曜日, 07 4月 2019 06:56)
家のガスの元栓が気になっておられたのですね。
それを確認するためにみんなで家に帰る・・・
いい企画、そしていい光景
いつになくパッチリ目のSさんは家の力ですね
「ガスの元栓」は確かに気になることではあったことかもしれませんが、家を出てきたものの、今まで住んでいた懐かしい我が家をもう一度見て、本当にもう我が家に住まなくていいのか・・・、それを確認することが「ガスの元栓を確認したい」という表現になっているような気がしました。
これは施設に戻ってSさんが語った言葉から、
「ガスの元栓」=「心の元栓」
この場合の「心」とは、どんな心でしょう・・・
施設に戻って話されたSさんの言葉にヒントがあるように思います。
よしたけ (日曜日, 07 4月 2019 09:09)
笑顔のお母さんをみて、家族も笑顔。みんなの笑顔をみて、私も幸せな気分になりました。
ご本人にとって、今回の外出が「ガスの元栓の確認」だけではなく、とても意味のあるスピリチュアル的なことであったこと。
傾眠がちで、言葉が少なくなったSさんの言葉ひとつひとつに私たちもハッとさせられ、それが学びの1つとなっています。
古殿 (日曜日, 07 4月 2019 09:44)
*小野さん*
「心の元栓」
建物としての家、自体もだし、残してきた先祖代々のお仏壇だったり、地域との繋がりや、いくつになっても息子さん達を思う気持ちなど、母として妻としてSさんとして過ごしてきた沢山の事が含まれているのでしょうね。
元栓を確認したSさんの言葉に、今まで生きてこられた重みをズシリと感じました。
以前、小野さんがSさんの事を「日本の昭和の母」と表現されたことがあります。
まさにその通りですね!
*吉武さん* (日曜日, 07 4月 2019 09:58)
同行ありがとうございました!
「自宅に帰る」という場の持つ力が、あんなにも意識をハッキリさせるものなのか…と驚きました。
元栓を確認したSさんの言葉を、私達がどう捉え、どう動いていくのか…。
これからも一緒に宜しくお願いしますね‼︎
そしてそして、今回書ききれなかった続編をぜひ宜しくお願いします!