スタッフさんへありがとう

元気で大好きな祖母が、突然「もう34歳になったばい」と言い始めた今年の3月。

 

祖父はガソリン屋と農家を経営していたため、祖母も一緒になって毎日仕事に専念してきた人生でした。祖父は口うるさいところもたくさんあり、「料理の味が濃い、薄い」など小言もたくさん言われ、それでも毎日一生懸命料理をして祖父に尽くしていました。

 祖父が物事をはっきり言う為、祖母はいつも「うちの爺さんがごめんね・・・」とよくお客さんに頭を下げていたことを思い出します。頑固、でも優しさいっぱいある祖父だったので、仲良の良い夫婦でした。

その祖父も3年前に他界。もうすぐ三周忌を迎えようとしています。

 

祖母の趣味は料理作り。幼少期の時から、ぼたもち、がめ煮、お赤飯、豆の煮方など・・・よく作り方を教えてもらっていました。

毎日、祖父に口うるさく言われ、それでも料理を作り・・・しかし、祖父が亡くなってから料理を作ることが少しずつ減り、祖母が1人になる時間も増え・・・、日課の散歩も近所の人との交流もいつの間にか減ってしまいました。

 

祖父がいてくれたおかげで張り合いがあったのだと思います。祖母には子供が3人いますが、全員自営を営んでいる為、常に一緒にいることが難しく・・・。認知症になっても仕方のない環境だなと思っていましたが、祖母の笑顔が減り、食事も摂らなくなり、目が生きていない。あんなに幼少期から可愛がってくれていたのに「あんた誰ね?」と言われた時には孫なりにショックを受けました。

 

今は有料老人ホームへ入居していますが、人との関わりがいかに大切か、誰かと一緒に食事をすることがどれだけ大切か・・・スタッフみなさんのおかげで、「帰りたい、帰りたい、あんた迎えにきたとやろ?」と言っていた祖母も、「あんた来たの?その恰好なら仕事ばいね。」と言ってくれます。先輩に「あんたはみゆきと同じ仕事ばしよるとやろ?」と先輩を「あんた」呼び。今の祖母は目が生きています。

 

スタッフさんが「今日クッキングをしたんです。この笑顔見てください。」と写真を見せてくれました。久し振りに祖母の笑っている顔を見て涙がでそうでした。

スタッフさんのその一言・・・同じスタッフだからではなく、家族として、「あ~こういうスタッフさんがいる施設に祖母をみてもらって本当に良かった」と思えた瞬間でした。

 

ここの施設はイベントがたくさんあり、素敵なスタッフさんがたくさんおられます。

 

認知症になっても悪いことばかりではない。幸せな事がたくさんある。

 

“今、祖母は新しい場所で第二の人生を歩んでいる”

 

孫として・・・これからも祖母の事をどうぞよろしくお願いします。

 

訪問看護ステーションつばさ 高井良美由紀