おくりびとが考える最後のケア

先日のプロフェッショナル・仕事の流儀で納棺師の木村光希さんが出演されていました。

 

納棺師という仕事は映画の「おくりびと」でも有名ですし、東日本大震災の時も納棺師の方々が活躍されたそうです。

 

実際に、私たちが最後のケアとして行うエンゼルケアと重なる部分も多くあり、私は納棺師という仕事に興味がありました。

 

番組の中で、木村さんが言われていた言葉。

「最後の死に化粧はきれいにすればいいものではない。どこか本人らしさを残すことが必要」だと。

 

その言葉を聞き、数年前のことを思い出しました。

 

まだ、私が訪問看護師をはじめたばかりの頃、ある方の看取りをしました。

90歳代、女性。Aさん。すい臓がん。

恰幅が良く、それに負けじと声も大きくとても元気な方でした。

亡くなる数日前より黄疸が著明となっていました。

 

この黄疸を何としてでも目立たなくしたい。。

 

そんな思いで、メイクをしました。

出来上がりは、とてもきれいに、清楚に仕上がりました。

 

だけど。。。なんかちがう。いつもの豪快な元気なAさんじゃない。

 

家族は、「わあ。きれいにしてもらって。いつものばあちゃんじゃないみたいね~^^」

家族からいただいた誉め言葉は、当時の私にとっては何となく府に落ちませんでした。

 

テレビを見ていて、数年前の私のもやもやした気持ちはAさんの「らしさ」を引き出す最後のケアができなかったことが原因だったと気づきました。

 

最期の最後まで、その人らしさを引き出すケア。その人を大切に大事に思うケア。

そんなケアを最期まですることやエンゼルケアに生かすことで、家族が悲嘆やつらさを乗り越え、新たな生活へとつなげていけるのではないかと思います。

 

その人らしさや、今までの生きざまを生かしたエンゼルメイク。。。

エンゼルメイクが上手にできるようになるには、「その人」自身を知ることがとても大切なことですね。

                 

訪問看護ステーションつばさ 吉武 由紀美

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コメント: 2
  • #1

    やました (水曜日, 19 6月 2019 23:03)

    最近の私の想い。
    実は放送を見て、泣けて泣けて仕方なかったんです。
    その時「納棺師になりたい」って思ったくらいなんです。

    今の仕事が嫌とか、本当に納棺師になりたい、とかではなく、
    最後の瞬間に「この方の人生を最期の今、ここに表現したい、寄り添いたい、伝えたい」と思ったりして…。

    私達介護の現場に生きる者にとって、それは、ご家族にありのままの姿をご家族にお伝えし、表現することかなと思ったりしています。

    吉武さんのその想い。
    優しいですね。
    私も、私の母も、そんな想いを持った吉武さんにエンゼルケアをして欲しいなって心から思いました。
    ありがとうございます。

  • #2

    いのうえ (木曜日, 20 6月 2019 16:27)

    私も思うところが同じです。訪問看護を始めた頃、同じ経験をしました。その当時看取りをした方の葬儀にわずかな時間でも参列していました。その理由は、自分が最期までケアした方が棺の中に入って皆さんとどんなお別れをされているのか、今後のケアに活かせる様に見届けたかったから。
    その中で一人だけ黄疸のきつい方がいまして、エンゼルメイクをしました。ご家族からも感謝の言葉があり、でも何かしらこれでよかったのか何となく引っかかるものがありました。無事にケアが終わり翌日、葬儀で棺の中のお姿を確認すると私がメイクした姿ではありませんでした。その姿は、とても自然で綺麗でした。ショックだったのと同時に、おくりびとの方のプロフェショナルな仕事を見せつけられた思いでした。
    その思いを今も大切に心に留めています。
    最期の最後までその人らしさを引き出すケアを追求しています。葬儀に参列しなかったらわからなかった事ですが、今もエンゼルメイクをする時は、おくりびとの方のプロフェショナルなメイクを思い出します。
    しかし、上達してるのか、してないのか、メイクはとても難しいです。今も悩むことばかりです。